2011/08/15

VIVA! フラガール!!──お台場

2011.8.6
【東京都】

 この夏における電力需要の大きな山場と目されていた、お盆前の一週間を何とか乗り切ることができました。
 東北電力では、先日の新潟・福島豪雨により水力発電所が運転停止したため、ヒヤヒヤしたものの、最大の危機は乗り越えたと考えていいのではないでしょうか(まだまだ猛暑は続くので、節電は同様に必要です)。

 それにしてもオイルショック以来のエネルギー危機を乗り越えた日本民族の「凄さ」には、改めて感心しています。
 イヤイヤ、これで驚いてもらっちゃ困る。
 ここまでは、これから始まる本格的な復興をバネにこの国が大きく化けるための助走期間に過ぎず、本当の実力を発揮するのはこれからなのですから。
 外国の方々はよく見ていて下さいよ、日本は戦後復興に続いて、震災復興の奇跡を起こして見せますから!
 そんな心意気で、進んでいきましょうよ!


より大きな地図で 東京 を表示

お台場(Map)

 ゴールデンウィーク明けにスタートした「フラガール 全国きずなキャラバン」の情報を目にしてから、機会があれば是非応援にと思ったものの場所とスケジュールが合わず、季節柄もふさわしい夏を迎え、今行かねば! と足を運びました(フジテレビ主催「お台場合衆国」)。


 1905年ごろ採掘が始まった常磐炭田(現日立製作所の前身)が、現福島県いわき市に広がっていましたが、時代の流れから炭鉱の閉山が相次ぎ1955年から人員整理が始まります。
 地域の主力産業の閉鎖に伴い、炭鉱労働者や家族の雇用創出と新たな収入源確保のため、新規事業の立ち上げが検討されます。
 当時「日本人が行ってみたい外国」のトップは「ハワイ」だったことから、1966年こつ然と「常磐ハワイアンセンター」が誕生します。

 「いわきが日本のハワイ?」
 にわかに信じられない炭坑の娘たちがフラダンサーとなり、宣伝の全国巡業により知名度を高め、関東地方ではTVCMのおかげもあり「フラダンス=常磐ハワイアンセンター」と、ハワイに行けない者はすり込まれたものです。
 それがいつしか「ハワイに行ってきたよ!」「あぁ、日本にあるハワイね」と定着したことに驚きますが、それは来場者の満足なくしては実現できない、積み重ねの成果に違いありません。

 「日本のハワイ」誕生当時の情景を描いた映画『フラガール』(2006年)でその経緯を知ってから、訪問の有無にかかわらず、応援したいと思う人は増えたのではないでしょうか。
 そんなフラダンスチームが、現「スパリゾートハワイアンズ」の再開(大震災とその後の直下で起きた余震で被害を受け閉鎖〜10月1日営業再開)と、地元復興を盛り立てるため、46年ぶりの全国巡業に出ています(当時の状況が映画に描かれている)。
 これは是非とも応援したいとスケジュールをチェックし続け、今回ようやく出会うことができました。

 映画は誇張されるにせよ、やはり蒼井優ちゃんのような方や、そうでない方もいらっしゃいますが、しずちゃん(南海キャンディーズ)のような方はさすがにいません……
 全員が満面笑みのアピール全開で登場し、見る側を引きつけようとする迫力を目にした瞬間、上述のような主観は沈黙させられます。
 最初は全員が均一の「作り笑顔」に見えますが、数々の踊りから放たれる女性ならではの体のしなやかさや、暑さの中(この日の最高気温33度)で踊る姿の、汗や息を整える様子(ハアハアしないように訓練している)を目にするにつれ、その印象が覆されていきます。
 彼女たちの笑顔が「営業スマイル」ではなく「自己表現」であると感じた瞬間にそれまでの疑問は消え去り、彼女たちを素直に受け止められるようになります。
 全員がダンス好きであることが伝わってきますし、踊りが好きな人は場所を問わず、基本的に「うまく踊りたい」気持ちで舞台に上がるのでしょう。
 そして「うまくできた」と思う瞬間を、観客によろこんでもらえた際の至福感が「舞台の笑顔」に結びついていることを、近くで感じられた気がします。
 わたしは苦手ですが、舞台に上がって多くの人に見てもらい、よろこんでもらう行為(舞台上で演ずる行為)には、何物にも代え難い「魅力(魔力)」があると聞きます。
 彼女たちは、そんな「恍惚感」が忘れられず踊っているようにも見えてきます……

 ジッと見つめられているような、彼女たちからのアイコンタクトサービスと勘違いする行為は、自身を奮い立たせる呼吸の「ため」ではないか、と思えてきます。
 体を動かしながらも頭を静止させようとして、一点を見つめるための単なる目標物にされてるだけではあるまいか?
 そこから次の踊り(動作)に移る際の、目線と頭の動きにキレを出すための技と考えると、納得しやすい(見つめられてもそこに感情は無い)動作に見えてきます。
 映画で、先生役の松雪泰子がそんな指導をするシーンがあったような気がしてきました。だとすると、単なる受け売りになってしまうが、実感したということで……

 そんな彼女たちの目的である「被災地復興」&「わたしたちに会いに来てください」のメッセージは、彼女たちの「舞台では常にベストを!」の気持ちと共に、見る側にしっかと伝わってきます。
 そんなまぶしいばかりの踊りを刺激剤として、「オレたちは何かやってる?」という自問のきっかけにするべきなのでしょう……

 目的を持った「集団」だから可能なパフォーマンス、と受け止めるべきと思います。
 応援する側もひとりにできることは限られていますから、彼女たちを応援したいと各地で立ち上がる気運が人々を束ねることを願うばかりです。


 上写真はトップの演技で、映画で優ちゃんもやっていた、ひざを曲げて背中側にドスンと倒れ、そこからせり上がってくる姿で、映画のように盛り上がる場面です。
 今どきは「さぁ、立ち上がろう!」のメッセージにも受け止められ、感涙の場面となります……

 上述の端々で映画の印象と重なってしまい、ご存知の方には通じても未見の方には「何のことやら?」でしたらゴメンナサイ。
 いずれの方にも、映画を観て「スパリゾートハワイアンズ」に行って下さいという広告になった気もしますが、これも応援の一環ということに……

 でもおかげで、地味と言われるページがとっても華やかになりました。


潮風公園(Map)

 迫力ある大型クレーンが並ぶ対岸は大井ふ頭になります。
 何かのイベント船でしょうか「がんばろう日本」ののぼりが見えました。


 この台場は江戸時代末期、最初のペリー来航(1853年)に危機感を抱いた幕府が江戸防衛のために築いた洋式の海上砲台のひとつ(第三台場)で、品川沖(江戸入口の防衛ライン)に11基築造する計画がありました(付近に第六・七台場があり、七は未完成)。
 二度目のペリー艦隊は品川沖まで来て、この砲台を見て横浜まで引き返し上陸したとされます。その通りならば、見事な抑止力となったわけです。
 1940年東京港開港(第二次世界大戦開戦前年とは驚きましたが、もちろん軍事目的でしょう)から、付近の突堤建設・埋め立てが始まります。
 軍事目的の人工島が平和的に利用されるようになり、1978年開催の宇宙科学博覧会(宇宙博)では人気を博すも、当時付近の建造物は船の科学館だけで、倉庫やコンテナ置き場が広がる荒涼とした埋め立て地でした。

 鈴木俊一都知事時代(1979〜95年)に臨海副都心開発の検討が始まり、建設はバブル絶頂期の1989年に始まりました。
 大規模プロジェクトなので建設期間27年は仕方ないにしても、バブルがはじけた途端に企業進出もキャンセルされ、さら地だけが放置されることになります。
 青島幸男都知事(1995〜99年)は、記憶にも残る「世界都市博覧会はやりません!」(都市博はこの地区開発のデモンストレーション)と叫びましたが、就任中もこの地域の開発計画自体は継続されます。
 石原慎太郎都知事(1999年〜)は、オリンピック招致で何とかこの土地を活性化したいと躍起です。
 ようやく建築物も増え始めたとはいえ、まだ空き地の方が目立つ広大な埋め立て地の利用法に頭を悩ませています。


 よく足を運んだ「東京ビックサイト」での展示会の混雑や、フジテレビ周辺の休日の混雑にはたじろぐ面もありましたが、にぎわうスポット(パレットタウン、大江戸温泉物語等)は、ここ何年も変わっていないことに気付かされます。
 上写真(2枚)の、子どもの遊ぶ水辺が閑散としている様子や、お台場海浜公園にある人工砂浜の水着姿の少なさには、観光客はもちろん、地元や近隣の人々も関心を失っているばかりか、この地区人気の陰りが感じられ、「踊らされたお台場?」の実態が見えたような気がします。
 孤軍奮闘のフジテレビがいくら頑張っても、自分のテリトリーを満たすのが精一杯で、周辺との相乗効果を生み出すまでのパワーは無いようです。

 パレットタウンや大江戸温泉物語は、中止された世界都市博覧会使用予定地を、暫定利用として10年の契約期間で利用しています(そんなスポットは人が集まっています)。その期限は2010年(温泉は2013年)のはずも、情勢の変化により延期されています。
 今のご時世では新しい町を作るにも、募集〜即決は難しいでしょうから、時間がかかることは仕方ないと思いますが、牛歩の歩みながらも建物は増えているようなので、地道な取り組みが必要のようです(まだまだありませー!)。

 帰路の、りんかい線にやって来た相互乗り入れのJR埼京線車両の窓には、「防犯カメラ設置してあります」の表示が貼られてます。
 近ごろはどこでも、利用者への説明義務を課せられるので、大きな表示が増えました。
 でも大きくすれば「目立つ」という発想は、目立ちすぎて目障りだから見ない、という反応を生み出すように思えます。
 「女性専用車両」の表示はピンクが多いので、目に入れば避けますが、そのせいか「弱冷車」の表示が目立たなくなり、見逃しそうになったりします(弱冷車は暑いと感じます)。

 防犯カメラの表示を気にせず乗り込みましたが、車内の天井には「エイリアンの卵?」のような物体がぶら下がっています。
 銀行などのATMに設置されるものより大型の真っ黒な物体が、中吊り広告の脇に鎮座しています。
 話には聞くも初めて目にすると、かなりの威圧感があります。
 仮の話として、わたしが痴漢容疑で腕を捕まれたとき、そのカメラは何をとらえているのでしょう?
 まさか犯行場面(現行犯として認定できる行為)までは撮れないのでは、と思うのですが……
 装置の写真を撮ろうと思いましたが、この先犯罪を犯す予定はなくても、大きく映りたくないと思うと、コイツには何も手出しができないのか? と嫌悪感を感じます。

 上写真のレインボーブリッジって歩いて渡れるんですね!?
 展望台があることを知り眺めてみれば、橋を走っている人がいました。
 横浜ベイブリッジのスカイウォークは閉鎖されたので、今度是非と思っています。


追記
 今年のお盆ほど、その意義の大切さを考えさせられたことはありません。
 先祖や家族の霊を迎入れ、持てなそうとする儀式は、夏祭り・盆踊り・花火大会として、お盆という習慣を知らない都会育ちにも、完全に日常的な季節行事となっています。
 被災地における「お盆」という行事の大切さが連日TVで流れますが、行事を知らない都会育ちにもそこに込められた気持ちを理解できるところが、今年の特別な夏の「大切さ」なのだと感じます。

 お盆の習慣とされる、先祖たちへの現状報告と、感謝の気持ちを伝える瞬間にきっと、自身と向き合う機会を与えてもらっているのかも知れません。
 来年はもっとマシな報告ができるよう、心に誓う気持ちがとても大切ではないか、と思えてなりません……